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: 環 の -表現 : 複素射影空間 : with Fubini-Study 計量 を

$ \mathbb{P}^n({\Bbb C})$ の非可換実変型:環 $ A_R$

いよいよ $ \mathbb{P}^n({\Bbb C})$ の実変形について考えてみよう。

$\displaystyle A={\Bbb C}[z_0,z_1\dots,z_n,\overline{z_0},\overline{z_1},\dots,\overline{z_n}]
$

とする。ただし、こんどは は必ずしも可換ではなくて、

を満たすものとする。ここに、 , はクロネッカの デルタである。 表題のものをえるには、この $ A$ を、

$\displaystyle \mu=\sum_i z_i \overline{z_i}-R
$

で制限すれば良い。(前節で求まった $ \mu$ と少し変えてある。$ \mu$ を 2倍したのは 全く便宜上の問題であり、 積分定数 $ R$ を付け加えたのは $ R=0$ が singular な場所だからである。) すなわち、$ A$ を次のようなイデアルで「制限」することになる。

$\displaystyle J=A\mu
$

$ N(J)$ の具体的な形をもとめよう。 $ A$ には $ \deg(z_1)=1,\deg(z_j)=-1$ として次数づけが入る。 この次数づけに関して斉次な元 $ f$ に対して、

$\displaystyle [\mu,f]=\deg(f)f
$

この関係式を用いると、直ちに、

$\displaystyle N(J)=A_0+J$   $A_0$ は $A$ の次数 $0$ の元全体のなす代数$\displaystyle $

がわかる。 すなわち、

$\displaystyle N(J)/J=A_0/(A_0\cap J)=
{\Bbb C}[\{z_i\overline{z_j}\}_{i,j}]/(\sum_j z_j \overline{z_j}-R)
$

この環を $ A_R$ と書くことにする。 次の節でこの環の $ *$-表現について詳しく調べることにしよう。



平成16年8月24日