次のことはよく用いる。
命題 6.9
![$f(X) \in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]$](img5.svg)
が

上で可約なら、
任意の素数

に対し、

は

上可約である。
たとえば次のような
の元の因数分解を考えよう。
(先に言葉の注意をしておく。これは環論的に言えば
での
因数分解とも言えるし、多項式の言葉で言えば
上の因数分解と言っても良い。)
これはそのまま素数
に依存して定義される剰余環
での因数分解とも考えられる。整数
の
でのクラスを
と書くと、
これが命題6.9 の意味である。
(実際には
は素数でなくても整数であれば構わない。しかし
が素数ならば
が体であるという利点があるので以下では主に
が素数の場合を
かんがえよう。
は体なので
とも書くのであった。)
この分解についてもう少し考えてみる。
では
の元は
のどれかに等しいから書き換えると:
のことは
と書いてしまえば、
上で考えているという注釈
(
と略記することで以下では表現する)
のもとで
同様に、同じような注釈を書き加えておけば、
を得る。
もっとも、
と書いておけばすべての素数
についていっぺんに書くことができるわけだが。
命題6.9 の対偶をとると次の命題を得る。
命題 6.10
ある素数

について

が

上既約ならば、
![$f(X) \in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}[X]$](img5.svg)
は

上で既約である。