A. Conne氏 の 「Non Commutative Geometry(Academic Press; 1」 には、この状況を改善するための、 面白い処方箋がのってある。曰く 「ここでは、関数の代わりに作用素値の関数を考えればいい。」
実際に、 を考えて、それをベクトル場で割って やれば良いかと言うと、それでは全く状況を変えることが出来ない。 つまり、上に引用した言葉は、「係数拡大」(ベース変更)というアイディアだけでは 理解できない部分がある。
上の関数を考える代わりに、ベクトル束のセクションを考えるのはどうだろうか。 これはうまくいく。
砂田利一氏の「基本群とラプラシアン(紀伊國屋数学叢書29)」 では、 の基本群の表現に由来する 上の(無限次元)ベクトル束 を定義し、 「C(T)上のVのセクション」と、 「 上の(無限遠での挙動に少し条件をつけた)関数」 とが一体一に対応していることを示して 上の解析学と 上の解析学との行き来を可能にしている。
ここでも、このベクトル束 を流用すると、 上の -不変セクション は 上の (の への持ち上げ)-不変なセクションに 対応させることができ、期待していた通り十分多くの -不変セクション を得ることが出来る。ただし、この話の を適当な有限ランクのベクトル束に 置き換えることはできない。これは、 の積分曲線が非コンパクトなことに 起因している。